セミアニリン仕上げの手順
ここまで染料仕上げと
顔料仕上の手順について
説明してきましたが
セミアニリン仕上げは
染料仕上げと顔料仕上
それぞれのいいとこ取りをした
集大成の仕上げ方となっています。
大まかに手順としては
染料仕上げで革自体に
下地の色を付けて
さらにその上に顔料仕上げで
キレイに仕上げていくと言う
手順になります。
レザー部分に染料仕上げを行ってから
バインダー層に顔料仕上を行います。
最後にトップ層に色止めを行います。

セミアニリン仕上げの動画を
2本用意していますが
1本目の動画はエアブラシを使わずに
筆塗りでのセミアニリン仕上げの手順です。
2本目の動画はエアブラシを使っての
セミアニリン仕上げの手順になります。
まずは動画をご覧ください。
筆塗りでのセミアニリン仕上げ
エアブラシを使ってのセミアニリン仕上げ
動画内では、カラーペーストとウレタンバインダーの希釈割合を2:8 (20%希釈)で解説していますが、色物の色補修は、カラーペーストで類似色を作り、ウレタンバインダーに対し、カラーペースト5%〜10%程度溶かします。薄い色付けで乾燥すると元色が表現できます。
濃淡は塗り重ねで調整します。
2:8(カラーペースト:ウレタンバインダー)での希釈濃度は全体塗装の最大値とお考えください。
※色物顔料の希釈割合をLesson16で詳しく解説しております
セミアニリン仕上げの基本的な手順

基本的に今までお伝えしてきた
染料仕上げと顔料仕上げの手順を
順番に行えばセミアニリン仕上げの
完成になります。
全体を通してもう一度最初から
手順を解説します。
ステップ1 クリーニング
まずはリカラーをする前の下準備です。
初めに馬下ブラシを使い
商品に付いてるホコリやチリを
払い落とします。

馬下ブラシでブラッシングを行った後に
IPAアルコールの原液または
リムーバーCと水を1:1で割ったものを
ウエスに付けて拭いていきます。
こちらを行う目的は革の表面に付いている
油分や古いトップコートを落とすために
行います。
この工程を行うことによって
リカラーをする際に色が入りやすくなり
リカラーの仕上がりがキレイに仕上がります。
また、汚れには『水性汚れ』と『油性汚れ』があり
それぞれで使用するクリーナーが変わってきます。
水性用クリーナーと油性用クリーナーの
両方を行なっておけば間違いありません。
順番としては
『油性汚れ→水性汚れ』
の順番で行って下さい。
油性用のクリーナは
「IPAアルコール」か「リムーバーC」です。
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アルコールでも落ちない汚れがある場合
リムーバーCと水を1:1で割って使用して下さい。
リムーバーCは溶解力が強いため擦りすぎたり
濃い濃度で使用すると元の色まで落ちてしまうので
気をつけて下さい。
また、各ブランドの押印ロゴの部分も
リムーバーCで拭いてしまうと
落ちてしまうので避けるようにして下さい。

シボ革をリムーバーCで拭くと
シボが取れてしまうのでシボ革に使用するのは
避けた方がいいです。
特にリムーバーC原液で拭くと
100%シボが無くなってしまうので
気をつけて下さい!

また、ヴィトンのモノグラムなどのような
PVC加工がされている素材に濃度の濃いリムーバーCを
使用するとロゴなどの柄が消えてしまうので
注意が必要です。

次に、水性クリーナーの紹介です。
ここで使用する水性クリーナは
『CLクリーナー』です。
準備編でもご紹介しましたが
念の為こちらにもリンクを貼っておきます。

こちらの水性クリーナーも使用する際は
ウエスに付けて使用して下さい。
全てブラックに塗り替える場合は
アルコールかリムーバーCを水で希釈した物を
ウエスに付けて拭くだけで
水性クリーナーは使わなくても大丈夫です。
スエード素材のクリーニング方法
スエード素材は顔料を塗布する
セミアニリン仕上げは行わないのですが
バッグの内側がスエードの場合は
エアブラシで染料仕上げを行うこともあるため
スエード素材のクリーニング方法として
こちらにも記載します。
スエード素材については油性水性共にクリーナーは
使用できませんのでスエード専用のクリーナー
『リバイブカラーリキッド』
をスプレーしてスエード専用のブラシで
ブラッシングして下さい。
・Phoenix Pro
リバイブカラーリキッド(スエード用)



上記のSTEP4に入る前に「リバイブカラーリキッド」
を吹きかけ、ワイヤーブラシで起毛を起こし、
最後にナイロンブラシ(黒いブラシ)で整え完成。
キャンバス生地のクリーニング方法
キャンバス生地も基本的に
染料仕上げなのですが、
お財布の内側の革をセミアニリン仕上げで
仕上げることもあるので
キャンバス生地のクリーニング方法も
こちらに記載します。
キャンバス生地のクリーニング方法は
桶やバケツに50℃ほどのお湯を溜め
その中に洗濯洗剤か
中性洗剤と酸素系漂白剤を適量入れ
混ぜ合わせた物にタオルやキレイな雑巾を浸し
固く絞ってから叩くように拭き取るか
柔らかい歯ブラシで汚れをかき出しタオルや雑巾で
拭き取る作業を繰り返します。
小銭入れの汚れを落とす方法
小銭入れが布の場合は魔法水を使い
クリーニングを行なっていきます。
小銭入れも黒く塗ってしまう場合は
省略可能です。
魔法水の作り方は以下の通りです。
粉重曹 大さじ1
食器用中性洗剤 3滴
上記をよく混ぜて
柔らかい歯ブラシに付けて
汚れを叩き出すように行なって下さい。
ある程度汚れが浮き出てきたら
ウエットティッシュや乾いたティッシュで
拭き取ります。
注意点としては擦る際は繊維と同じ向きで
擦るようにして下さい。
繊維の向きと違う向きで擦り続けると
布にダメージを与えてしまい
破けたり裂けてしまいます。
また、財布に水分をたくさん含ませてしまうと
財布の中にある紙で出来た芯材が水分で
ベコベコになって波打ってしまうので
極力水分を切りながら行ない
ティッシュなどで頻繁に水分を取ったり
ドライヤーで乾かしながら行なって下さい。

小銭入れが革の場合は
オキシクリーンや酸素系漂白剤を
お湯に溶かし雑巾やタオルを浸し
固く絞って拭き取って下さい。
簡単に汚れが落ちます。

ステップ2 保湿クリームで栄養補給
クリーニングが終わったら革の栄養補給です。
革のダメージが少ない場合は省略可能です。

※教材内のSTEP2「加脂剤オイル補給」の代用品、
こちらのデリケートクリームの方がふっくら仕上がります。

油分が抜けてカサカサになった革にクリームを馴染ませて
ブラッシングをします。
全体的に馴染んだら自然乾燥で
乾かします。
以上が保湿クリームでの栄養補給方法になります。
マスキングテープによる養生
ここまで終わったら次に養生です。
外側も内側もブラックに塗り替える場合は
養生はしなくても大丈夫ですが
外側だけブラックで内側は元のカラーのまま
と言う場合などは、養生はかなり重要になります。
成功するかどうかは養生にかかっていると言っても
過言ではありません。
部分的なリカラーの場合は必ず
マスキングテープで養生をして下さい。
塗りたくない部分や金具などに
マスキングテープで養生をします。

金具に付いた塗料はツールウォッシュを
綿棒につけて擦るとスルスルと簡単に
拭き取ることもできるので
金具の養生はしないで最後に全て
拭き取ると言う手段もアリです。
下の写真は外側とファスナー回りの布の部分だけ
ブラックにするため内側の
塗料が付着してしまいそうな部分に
マスキングテープで養生をしています。
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また、押印のロゴを塗り潰したくない場合は
予めロゴの部分にマスキングテープを貼って
養生しておいて下さい。
後ほどロゴの文字を塗り潰さないように
色を入れていきます。

ステップ3 角スレ補修
軽い角スレの場合は顔料を塗ると
隠れてしまいます。
また、角スレがない場合いは省略して下さい。
角スレ補修の方法は2種類あります。
1つ目はPhoenix Proのレザーパテによる角スレ補修です。
2つ目はLizedのエッジカバーによる角スレ補修です。
※レザーパテに色が付いた物とお考え下さい。
角スレ補修につきましてはそれぞれ
動画で解説していますので
そちらの動画を参考にして下さい。
レザーパテによる角スレ補修方法

角スレがある部分にレザーパテを盛ります。
コツとしてはまずレザーパテを細い筆に取り
角スレ部分に盛ります。
その後、角スレ部分に盛ったレザーパテを
指で刷り込むように浸透させ革に馴染ませます。
はみ出したレザーパテを拭き取り
先ほど刷り込んだレザーパレの上に
さらにレザーパテを盛ります。
レザーパテは乾くと収縮する性質があるので
少し盛りすぎなくらい盛って下さい。
盛りすぎたとしても後ほどサンドペーパーで
削り落とすので問題ありません。
塗ると言うより盛る感じで行なって下さい。
レザーパテを盛り終わったら乾くまで待ちます。
自然乾燥で半日程度で乾くので
乾かしている間に他の作業を行えば
時間効率が良いです。
ドライヤーで乾かす方法も時短になりアリですが
しっかり乾いたか分かりづらいので
自然乾燥を推奨しています。
レザーパテが乾いたらサンドペーパーで
形を整えていきます。
この時にレザーパテが収縮して盛りが足りない場合は
さらにレザーパテを盛って乾くまで待ちます。
サンドペーパーで形を整える際は
#1000~2000の耐水サンドペーパーに水を付けて
擦っていきます。
水を付けずに擦るとパテ自体が剥がれて
取れてしまう恐れがあるので
必ず水を付けたサンドペーパーで
優しく擦るようにして下さい。
形が整ったら角スレ補修は完成です。
エッジカバーによる角スレ補修
※レザーパテに色が付いた物が「エッジカバー」
次にエッジカバーを使った
角スレ補修の解説になります。

まずは下処理を行います。
角スレがある部分にエッジカバーシーラーを
綿棒や筆で塗り込みます。

エッジカバーシーラーで下処理を行う理由は
エッジカバーを塗布した時に
革へ浸透しすぎることを防止したり
エッジカバーの密着性を高めるために
エッジカバーシーラーを塗って
下処理を行います。
エッジカバーシーラーを塗ったら
ドライヤーで乾かします。
エッジカバーシーラーが乾いたら
エッジカバーを盛っていきます。
エッジカバーを綿棒や筆に付け
角スレ部分に盛ります。
この際もレザーパテの時と同様に
一度指で刷り込み革に馴染ませます。
はみ出した部分を拭き取り再度エッジカバーを
盛っていきます。
エッジカバーも乾くと収縮する性質があるので
多めに盛って下さい。
盛りすぎても後で形を整えるので
問題ありません。
エッジカバーを盛り終わったら
自然乾燥で半日ほど乾かします。
エッジカバーが乾いた際に収縮して
盛りが足りないと思ったら
再度エッジカバーを盛って乾燥させて下さい。
エッジカバーが完全に乾いたら
形を整えていきます。
エッジカバーの形を整える方法は
2つあります。
1つ目はレザーパテ同様に
サンドペーパーで形を整える方法です。
#1000~2000の耐水サンドペーパーに
水を付けて形が整うまで擦ります。
乾いたサンドペーパーで擦ると
エッジカバーが剥がれてしまう恐れがあるので
必ず水を付けたサンドペーパーで
擦るようにして下さい。
2つ目の方法は手芸用の電熱コテで
形を整える方法です。

電熱コテで形を整える際は必ず
エッジカバーの上にクッキングシートを
切った物の上からコテを当てるように
して下さい。
電熱コテを当てることで
熱で簡単に形を整えることが出来き
サンドペーパーで整えるよりも
キレイに仕上がるのでおすすめです。
温度が高過ぎるとクッキングシートに
エッジカバーがくっ付いてしまうので
温度が上がり過ぎたらコテの電源を切って
温度調整をして下さい。
温度調節機能が付いてるコテの場合は
100℃ほどで使用して下さい。
また、同じ部分に長時間コテを当て続けると
革が焦げてしまったり傷んでしまうので
適度に位置をずらしながら形を整えて下さい。
以上が角スレ補修の方法についてになります。
ステップ4 染料仕上げ
クリーニングや角スレ補修が終わったら
染料を塗っていきます。
まず、染料を水で希釈して
適度な濃度の染料を作ります。
染料はLizedのアクアカラーでも
Phoenix Proの染料でもどちらでも
構いません。
で割ったものをよくかき混ぜます。
染料を塗っていて色が薄い時は
染料を足して調整して下さい。
染料2:水1
くらい
染料を塗る工程は筆塗りと
エアブラシで塗布を行う方法があります。
どちらの方法で塗っても問題ありませんが
それぞれ注意点があります。
それぞれの塗り方を解説します。
■筆塗りの利点
筆塗りの場合はエアブラシを用意しなくても
気軽に塗れるメリットがあります。
■エアブラシの利点
エアブラシを使用して塗る場合は
極限まで薄塗りが出来てムラになりにくく
筆塗りよりはるかに早く色が入るため
早く仕上げることが出来ます。
スエード素材を塗る際は筆塗りでは
一筆目に塗った部分に水分をほとんど
持って行かれてしまうので
エアブラシが必須になります。
エアブラシを使用することにより
スエード素材にも均等に染料を
塗布することが出来ます。
■染料を塗る際の注意点
筆で塗る際に染料を多く筆に含ませた状態で
塗布すると水分が革に浸透し過ぎて
ベコベコになってしまったり
内側まで染料が浸透してしまう恐れがあるので
トレーの縁で染料をよく切った後に
さらにキッチンペーパーで筆についた染料を
一度切ってから塗って下さい。
また、厚塗り防止にもなるので
染料を多く含ませた筆で塗らないように
して下さい。
ステッチの部分を塗る際も
染料の水分を多く含ませた筆で塗ると
ステッチから内側に浸透してしまうので
薄塗りで何度も乾かしながら塗って下さい。
染料を塗る際は筆をベタッと横にして塗るのではなく
毛先に付いている染料でササッと塗るように
塗って下さい。
なかなか色が入らない場合は
革を一度ドライヤーで温めてから
塗ると色が入りやすくなります。
それでも色が入らない場合は
ドライヤーを当てながら染料を
塗って下さい。
財布には形を形成する紙で出来た
芯材と言うものが入っています。
この芯材に水分が浸透し過ぎると
ベコベコになり形が崩れてしまうので
注意が必要です。
特に内側のカードポケットや
小銭入れを塗る際は薄塗りで
頻繁に乾かしながら塗ることを
意識して塗って下さい。
■外側を塗る際のポイント
外側を塗る際にムラが出てしまったとしても
セミアニリン仕上げを行う場合は
この後行う工程の顔料を塗ることによって
ムラが解消されるので全体的に塗り残しが無く
元の色が浮き出て来なければ大丈夫です。
光に当てて様々な角度から見て
元の色が浮き出て来なければ
外側の染料仕上げは完了です。
■内側を塗るポイント
内側を塗る際は芯材に影響しやすいので
薄塗りをしては乾かしてを繰り返すことを
意識して行なって下さい。
内側のカードポケットや小銭入れを塗る際は
エアブラシを使うことによって
薄塗り且つ芯材に影響を与えずに
キレイに早く塗ることが出来ます。
エアブラシが使えない場合は
高密度パフに染料を付けて
布の部分などを乾かしながら塗って下さい。

高密度パフも薄塗りが出来るので
筆塗りより芯材に影響を与えずに
塗ることが出来ます。
細かい部分を塗る際は
高密度パフをハサミで切って
好きな形にして塗って下さい。
内側の小銭入れなどの布の部分の色が
浮き出てしまう場合は
で薄めた物で着色すれば色がしっかり入ります。
この際もエアブラシで行うとキレイで
簡単に出来るのでエアブラシがある方は
エアブラシを使用して下さい。
エアブラシがない方は高密度パフを
使用して塗って下さい。
押印のロゴ部分を塗り潰さずに染料を入れる方法
一通り染料を全体に塗り終わったら
押印のロゴ部分に貼った
マスキングテープを剥がします。

ロゴの文字を避けるように
ギリギリの所まで細い筆を使い
通常の染料1:水1の染料で
塗っていきます。

文字の周りにしっかり色が入ったら
Phoenix Proの染料を
染料1:水2
で割った染料を作ります。
それと先の尖った綿棒と
水を容器に入れ準備しておきます。
この新たに作った染料で
文字の上を塗って色を入れていきます。
新たに作った染料を筆に付け
トレーの縁でよく水分を落とし
さらにキッチンペーパーで
水分を落とした後に
文字の上を塗っていきます。

染料が乾いてしまうとロゴの文字まで
塗り潰してしまうので染料が乾かないように
四方八方から筆で擦り続けます。
文字の周りが先に塗った周りの色と
同じ色になったら筆を止めます。
すぐに先の尖った綿棒に水を付けて
文字の上に付いた染料を優しくなぞって
拭き落とします。

キレイに拭き取れたら完成です。

ステッチに色が入らない場合
縫い目の糸であるステッチに
色が入らない場合や元の色が
浮いてきてしまう場合は
ファブリックマーカーでステッチに
色を入れて下さい。

ステッチの上をファブリックマーカーで
塗り終わったらアルコールをウエスに付けて
はみ出したファブリックマーカーを
拭いて下さい。
この後の顔料仕上で、はみ出した
ファブリックマーカーは消えてしまいますので
そこまで慎重に拭き取らなくても
大丈夫です。
※ラウンドジップ型のファスナー布部分を染め替える際、
染料で下地色を入れ終わった後に、ファブリックマーカーで
塗ると更に黒く綺麗に仕上がります。
元の布色が強い色味の場合、
色が浮き出てくる事があります。
その際は、
「KURA COLOR」がオススメ。
無希釈でファスナー布部分に塗ってしっかり乾燥させて下さい。

ステップ5 顔料仕上げ
顔料仕上で顔料を塗る際は
バインダー層に顔料を塗ります。
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バインダー層に色を入れる
顔料仕上げを行うことによって
革表面にある傷や汚れを
覆い隠すことができ、
薄塗りをすることによって
革本来の質感などを残したまま
キレイな仕上がりにすることが
可能になります。
顔料の配合について
解説します。
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このような容器を用意します。
顔料を作るために必要なものは
・Phoenix Pro カラーペースト

・Phoenix Pro レザーマットクリア

・Lized ウレタントップMS

以上の3つを混ぜ合わせて
顔料を作って行きます。
ここで使う顔料はPhoenix Proの
カラーペーストを使用していますが
Lizedの顔料であるペイントカラーを
使用する際も同じように
配合して頂ければ問題ありません。
最大で、カラーペースト2に対して
ウレタントップMSを8の分量で
混ぜ合わせます。
【黒色の場合】

計りやスポイトで数グラムレベルで
超正確に測る必要はありませんが、
2:8(カラーペースト:ウレタンバインダー)での
希釈濃度は全体塗装の最大値とお考えください。
大体2:8(20%)以下で希釈すれば
配合すれば問題ありません。
もし顔料を塗っていて色が薄いと感じたら
カラーペーストを少しづつ足して
調整して頂ければ大丈夫ですし
逆に色が濃いと感じたらウレタントップを
少しづつ足して調整して頂ければ大丈夫です。
また、この時点で作った顔料では
ウレタン特有のテカリが強いため
艶調整剤のレザーマットクリアを
3%〜5%程度
混ぜることによりウレタン特有の
テカリを抑え程良い艶を出して行きます。
この際も超正確に測る必要はありません。
動画でもやっているように
ちょろっと垂らす程度で大丈夫です。
もしレザーマットクリアを入れすぎて
艶が少ないと感じた場合は
レザークリアを少し足すことにより
艶が出ます。

注意点として艶調整剤には
艶を消すレザーマットクリアと
艶を出すレザークリアの2種類が
ありますので間違えないように
気をつけて下さい。
これで顔料は完成です!
次に顔料を塗って行きます。
顔料塗布
筆やスポンジを使い顔料を塗って行きます。
顔料を塗る際の注意点としては
以下の通りです。
顔料を塗る注意点
顔料を塗る際は薄塗りを意識して下さい。
厚塗りをしてしまうと顔料が乾いた時に
どうしても塗った感が出てしまい
リカラーしている感が出てしまいます。
薄塗りをしては乾かしを何回か繰り返し
色を重ねて色を付けていく事を意識して下さい。
筆に水分を多く付けすぎないように
容器の縁でよく切ってから
さらにキッチンペーパーに
ワンクッション置いてから
塗るようにして下さい。
塗る際は力を入れすぎず
筆の毛先で軽く塗るようにして下さい。
あまり力を入れすぎて塗ると
革を傷めてしまう可能性があります。
次に筆先の水分が無くなってしまい
筆先がカサカサの状態にならないように
常に筆先は程良い量の顔料で潤わせながら
塗るようにして下さい。
カサカサの状態で塗ると
筆跡が残り塗った感が出てしまいます。
押印ロゴの部分は塗り潰さないように
後ほど作成した顔料をさらに
ウレタントップで薄めた顔料で
塗っていくので通常の濃度の顔料で
塗らないように押印ロゴの部分は
避けるよに塗って下さい。
革同士が密着している部分
(カードポケットや外側のポケットなど)
に関しては完全に乾いていない状態で
革同士を密着させてしまうと
くっついてしまうので
そのような部分はドライヤーを使い
確実に完全に乾かして下さい。


以上の点に気をつけながら
顔料を塗って行きます。
顔料を塗る順番
顔料を塗る際は表面などの
塗りやすい部分は高密度パフで
塗って行くのですが
まずは塗りづらい部分を
筆で塗って行きます。
お財布で言うと小銭入れの横側や
カードポケットの革同士が
重なる部分など高密度パフで
塗りきれないような細かい部分から
塗って行きます。



なぜ塗りづらい細かいところから
塗っていくのかと言うと
先に表面や塗りやすい部分から
塗ってから細かいところを塗ると
どうしても細かい部分を塗る際に
革を広げたりするので
せっかく塗った部分の顔料に
シワが出来たりしてしまうからです。
薄塗りで塗っては乾かしと言う作業を
2、3回繰り返すとキレイに色が
入るので色が入ったら次は
塗りやすい部分を高密度パフで
塗って行きます。

こちらの高密度パフは女性の
化粧の際に使う商品なのですが
スポンジのキメが細かいため
このパフで顔料を塗ることによって
誰にでもエアブラシで塗ったような
薄塗りを行うことが出来る
優れものになっています。
なので、ボクは顔料を塗る際は
全て筆かこのパフで塗っているので
エアブラシは使っていません。
こちらを塗る際は顔料に少し浸して
容器の縁で軽く水分を切って
優しく撫でるように塗って行きます。
注意点は塗った後が残らないよに
何度も優しく塗りましょう。
それから水分が切れてきたと感じたら
すぐに顔料に浸して常に潤っている状態で
使用して下さい。
水分が無くなった状態で擦り続けると
せっかく塗った顔料のウレタンが
剥がれてしまうので注意して下さい。
こちらの作業も塗っては乾かしと言う作業を
2、3回繰り返し全体的にしっかり色が入ったら
完了になります。
最後に全体を見て塗り残しがないか
確認をして下さい。
最後に押印のロゴの部分を塗ります。
作成した顔料を少量
別の容器に移して
そこにウレタントップを
足して顔料を薄めます。
目安としては通常のウレタントップ濃度の
倍くらいの濃度で薄める感じです。
ウレタントップで薄めた顔料を
高密度パフにつけ容器の縁で
水分を切った後キッチンペーパーで
ワンクッション置いてから
押印ロゴの上を軽く塗って下さい。
押印ロゴの上は1度塗れば大丈夫です。
あとは乾かして終了です。
残った顔料は
次回も使いまわせるので
蓋の付いたビンなどに移し替えて
蓋をして保存して下さい。
よくあるミスの対応方法
また顔料を塗っている最中に
前の工程の染料仕上げの時に
染料の塗りがあまいか
染料が完全に乾く前に
顔料を塗ってしまったため
元の下地の色が
浮いてくることがありますが
そのような際には顔料の上から
染料をもう一度塗布して
レザーに確実に染料で色を入れてください。
このような場合は
顔料を塗ってしまってからでも
顔料の上から染料を塗っても問題ありません。
染料の方が粒子が細かいため
顔料の上から塗っても
浸透していくからです。
染料を塗り終わったらよく乾かして
もう一度顔料を塗って顔料仕上げを
行なってください。
ステップ6 布の部分に色を入れる
ラウンドファスナー財布の
ファスナー回りの布やカードポケット
小銭入れが布になっている商品については
染料で一度色を入れていますが
染料だけでは色が薄く元の色が
浮き出てきてしまうので
ここでさらに色を入れます。




布の部分を塗らない場合は
このステップを飛ばしてください。
まず、ラウンドファスナー財布の
ファスナー周りの布の部分の
色の入れ方について説明します。
まずラウンドファスナー周りの布を
市販のマッキーペンで塗ります。

マッキーは油性染料なので
どんどん色が入っていきます。
布の部分をマッキーで全て
終わったらさらにファブリックマーカーで
布を塗ります。

さらにファスナーのプラスチックの部分も
染料で色を入れてありますが
さらにファブリックマーカーで塗り
色を入れます。


しっかり色が入ればOKです!
続いて財布内側のカードポケットや小銭入れの
布の部分に色を入れて行きます。
カラーペースト(顔料)1に対し
水1の割合で希釈してよく混ぜます。
基本的には顔料と水で作った物を
エアブラシを使い色を入れて行きます。
エアブラシを使わない場合は
高密度パフを使い布に色を
入れて行きます。
高密度パフでは塗れないような
細かい部分については
高密度パフをちょうどいい大きさに
カットして使用してください。
注意点としては財布の内側は
水分を多く含ませてしまうと
芯材に水分が染み込み
カードポケットや小銭入れが
ベコベコに波打ってしまうので
少し塗ってはドライヤーで乾かしてを
何度も繰り返して色を入れてください。
高密度パフで塗る場合は
パフに水分を付けすぎないように
気を付けて塗ってください。
元の下地の色が浮いてこなければ
完了になります。
全て塗り終わったらドライヤーで
よく乾かしてください。
以上が布の部分に色を入れる方法になります。
ステップ7 色止め・トップコート
顔料仕上げが終わったら
塗った塗料が色落ちしたり
剥がれないようにトップ層に
色止めを行なって行きます。
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色止めに使用する溶剤が
基本溶剤です。
基本溶剤は自分で作成します。
用意するものは以下の通りです。
・Phoenix Pro レザーマットクリア
・水
以上のものを混ぜ合わせて
基本溶剤を作って行きます。
分量は以下の通りです。
水 …50%レザークリア …35%
レザーマットクリア…15%
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基本溶剤を作る際は
計りなどを使って作成すると
簡単に作成できます。
以上のものを蓋の付いたビンなどの
容器に入れよく混ぜ合わせます。
この時混ぜるために使う筆は
新品の筆か割り箸などの棒を
使用して下さい。
以上で基本溶剤の完成です。
また3ヶ月ほど保存が可能なので
ある程度大量に作っておくと
次回使う時に便利です。
作り置きの基本溶剤を使用する時は
レザークリアやレザーマットクリアが
沈殿しているので塗料の付いていない筆や
割り箸などの棒でよくかき混ぜてから
使用して下さい。
基本溶剤を塗布する
作成した基本溶剤を
よくかき混ぜた後に
別の容器に使う分だけ
少量移し替えます。
移し替える理由は一度でも
ブラックなどを塗った筆を入れると
筆に残ったブラックの塗料が
せっかく作った基本溶剤に
溶け込んでしまうため
他の色にリカラーした時に
使えなくなってしまうからです。
別容器に移した基本溶剤を
顔料を塗る時のように
塗りづらい部分から塗って行きます。
部分的に塗ったらドライヤーで
乾かして行きます。
基本的に1度塗りで十分ですが
心配のようでしたら2回くらい塗って
乾かしてを繰り返せば大丈夫です。
塗りづらい部分の筆塗りが終わったら
表面などの塗りやすい部分を
先ほど使った高密度パフで塗って行きます。
先ほど塗ったパフに顔料が付いていても
同じ色でしたら問題ありません。
こちらも塗る際は厚塗りをせずに
薄塗りで塗って行きます。
ムラがないよに全体を塗ったら
ドライヤーで乾かします。
塗り残しがないかを確認して
塗り残しがなければ
基本溶剤を塗る工程は完了です。
続いてトップコートです。
トップコートを塗る
トップコートはPhoenix Proの
トップコートスプレーを使います。

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こちらを塗る目的としては
色止めとしての機能もありますし
艶の調整として使います。
スタンダードタイプと艶出しタイプと
艶消しタイプがありますが
艶消しタイプはほとんど使用することは
ありません。
艶消しタイプを使用するケースとしては
VUITTONのヴェルニと言うエナメルの
商品をマッドブラックに
仕上げる時くらいですがマッドブラックに
塗り替える方法については別のLessonで
お伝えします。
基本溶剤を塗り終わった商品に
こちらのトップコートスプレーを
スプレーして行きます。
エアブラシを使用している方は
スプレーブースでスプレーを
吹いてください。
スプレーブースがない方は
ベランダや外や換気扇の下などで
スプレーして下さい。
スプレーのやり方は
全体的に1周程スプレーして乾かせばOKです。
艶を出したい場合は艶出しをスプレーして
あまり艶を出したくない場合は
スタンダードタイプをスプレーしてください。
もし艶出しを吹いて艶が出過ぎた場合は
スタンダードタイプを上から吹けば
艶は抑えられます。
このように艶を調整してください。
私の場合はCHANELの財布をやる場合は
表面は艶出しで吹いて内側はスタンダードで
吹いています。
またトップコートスプレーは
金属などについても特に影響はないので
養生など気にせずスプレーして大丈夫です。
全体的にスプレーを拭いて
乾かしたらトップコートは完了です。
布部分の色止めをする
布の部分の色止めは
Lizedの撥水WPと言う溶剤を
使用して色止めを行ないます。

撥水WPを塗布する際は
エアブラシが必須になります。
コンプレッサー式のエアブラシがない場合は
充電式のエアブラシで大丈夫です。

エアブラシを使用する人は
スプレーブースで塗布することが
前提となりますが
充電式エアブラシを使用する方は
スプレーブースを購入していないと
思いますので
ベランダや換気扇の下などで
塗布するようにしてください。
エアブラシを使い布の部分を
全体的にスプレーして塗布したら
完了です。
この際革の部分に撥水WPが
ついても革の撥水にも使えるので
問題ありません。
また、どうしてもエアブラシが
使えないと言う場合は
こちらのスプレーを代用してください。

こちらのスプレーも革についても
問題ありません。
ここまで来たらもう少しで
完成です!
続いては撥水加工です。
ステップ8 撥水加工をする
ほぼ最終工程に来ました。
溶剤を塗る最終工程として
撥水加工を行います。
撥水加工に使用する溶剤は
Phoenix Proのsalasaと言う
溶剤で撥水加工を行なって行きます。

ウエスにsalasaを付けて
全体的に拭き上げて行きます。
ウエスに水分が足りなくなったら
salasaを付け足して
拭き上げてください。
全体的に拭き上げたら
乾かして完了になります。
salasaを塗ることによって
革のベタつきがなくなり
サラサラになります。
撥水効果があるので
水濡れにはかなり強くなります。
最後にファスナー回りや
金具についた余分な塗料を
落として完成になります。
ステップ9 余分な塗料の落とし方
金具やファスナー回りに付いた
余分な塗料はツールウォッシュを使って
落として行きますが最初に
大まかな部分はお尻ナップなどの
ウエットティッシュで簡単に
拭き取ります。
その後ツールウォッシュを
少量容器に入れて綿棒を使い
拭き取ります。

ツールウォッシュを綿棒に付けて
軽く擦るとスルスルと簡単に
塗料が取れるので
そんなに難しい作業ではありません。
注意点は塗った革の部分に
ツールウォッシュが付くと
せっかく塗った部分の塗料も
剥がれてしまうので革に近い部分は
革に付かないように慎重に
拭き取ってください。
また、ツールウォッシュは
結構強い溶剤なのでシンナー臭のような
匂いが強いので窓を開けるなり
換気を行いながら使用してください。
綿棒が入らないような
細かい部分については
爪楊枝などを使い塗料を
削り落としてください。
余分な塗料が全て取れたら
豚毛ブラシで全体的に
ブラッシングをして革を整えます。
以上でセミアニリン仕上げの完成です。